エンゼルス・大谷翔平を襲った逆境 2021年シーズン

2023年7月20日

大谷翔平選手の2021年シーズンについては、華々しい活躍の部分がフォーカスされることが多いですが、幾つもの逆境に逢いながらも、そこで足踏みしてしまうことなく、乗り越えて来た一年でもありました。ここではその逆境の部分にフォーカスしてお伝えして行きたいと思います。

2021/06/11 ボーク2連続

アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦の5回裏2アウトランナー1、2塁の場面で、打者エドゥアルド・エスコバーの間に、続けざまにボーク判定を2つ受けました。実況は「どちらもボークではない」と断言しています。1つ目はよく見えなかったための誤審だったかもしれませんが、2つ目は明らかに故意(初めの大谷のリアクションに対する見せしめ)だと現地メディアでも話題になりました。

「Shohei Ohtani Show」より

この判定のせいで2人のランナーがそれぞれ2度進塁し、エンゼルスは1点を失いました。また、続いてのパスボールで更に1点を失いました。ボーク判定が無ければ、パスボールがあったとしても無失点だったはずの場面です。

この回を投げ切って3 – 2と勝ち越したまま降板した大谷翔平でしたが、エンゼルスは6回裏に追いつかれたため、この試合での大谷翔平の勝ちは消えてしまいました。

因みに、2021年シーズンの大谷翔平のボークは、この2個だけです。

2021/06/30 球審の判定、投手編

ニューヨーク・ヤンキース戦で先発した1回裏に、微妙なボール判定が2度、加えてファールボールと思われるものがデッドボールと判定される場面があり、初回4失点(自責点7)の大炎上で降板してしまいました。

試合は9回表にエンゼルスが一挙7点を上げて奇跡の大逆転勝利(11 – 8)、大谷翔平の負けが消えました。

これに続く7月2日の試合は、大谷翔平が29、30号ホームランを放ち、サヨナラのホームインをしたオリオールズ戦です。勝利後のインタビューで大谷翔平は「前の試合ではみんなが負けを消してくれた」とコメントしています。

球審の判定、打者編

前半戦においては特に、連日のように疑惑の判定(明らかなボールがストライクと判定される)があったように思います。現地の実況映像でも、スローでリプレイされることが多々あり、誤審をした球審の誤審率の高さが報道されたこともありました。

「MUSASHI 二刀流」より

大谷翔平選手は四球を確信して早めのタイミングで一塁へと動き出すことがあります。米メディアも、判定は誤りとしながら、MLBでは審判の立場が強く、見せしめの判定を導いてしまう可能性があるため、「それはあまりやらない方がいい」といったことを言っていたこともありました。何ともモヤモヤしてしまいますね。

ただし、大谷選手の打席で、逆にストライクがボールと判定された場面も何度も見ました。また、動画の「MUSASHI 二刀流」さんの集計によると、ある特定の審判が誤審を繰り返しているということは無かったそうです。メジャーは外角球を広めにストライクに取ると言いますが、どこまでが純粋に誤審だったのか、難しいところです。

しかしこれだけの誤審があっても、大谷選手は、例えば外角に外れた球を無理して打ちに行くことはしていないそうです。自分のバッティングを崩さないことの方を優先しているのです。また、誤審をされたその打席でホームランを放ったときもありました。2021年5月14日のグリーンモンスター越えの11号と、6月28日の26号です。このあたりにとてつもない凄みを感じますね。

敬遠続き

2021年シーズン終盤は、四球(敬遠)の多さに苦しめられました。特に下記の4試合は、地区優勝を争っていて負けられないアストロズ、マリナーズとの対戦だったこともあり、まともに勝負をしてもらえない打席が続きました。このときの、3試合で11四球/4試合で13四球は、共にMLB記録に並ぶ四球の多さでした。

  • 2021/09/22 ヒューストン・アストロズ戦 4個(うち敬遠2)
  • 2021/09/23 ヒューストン・アストロズ戦 3個
  • 2021/09/24 シアトル・マリナーズ戦 4個(うち敬遠2)
  • 2021/09/25 シアトル・マリナーズ戦 2個

この同じ四日間で、アメリカン・リーグのホームラン王争いをしていた二人は、

  • ゲレーロ.Jr:16打数3安打2四球
  • ペレス:8打数0安打0四球

と、歩かされることなく勝負してもらえていましたから、このことが、ホームラン王争いのブレーキとなってしまったことは否めません。2022年シーズンは、トラウト、レンドンが故障なく過ごし、大谷翔平の四球が激減してくれることに期待したいと思います。

※日付はすべて現地時間です。
※MLBでの成績は BASEBALL REFERENCE を参照しました。